2009年12月16日
まずは毎日弾くことですね(リペア中村)
ギターリペア「なかむら」さんにお邪魔したのは12月10日。
早くまとめたいと思っていたのに、なかなか時間がなくて、今頃まとめております。
■中村さんがギター製作・リペアの世界と出会ったのは26年前。
もともと工作好きだった中村青年は、中学くらいからギターを弾くようになって、
ギターっていうのはどうなってできているんだろうと思っていました。
大学生の時、雑誌の後ろに載っていた「ギター製作学校」の記事をみて人生は変わります。

「これだ!」と、親に内緒で大学をやめて「ギター製作学校」に(笑)。
「親には不経済学部だと言われた(笑)」といいますが、今となっては、あの決断は正しかったのですと、きっぱり。
■屋島の瀬戸内ゴルフから北にはいって最初の信号のところにある、今のお店に移ったのは、1年前。


骨董好きのオーナーが、中村さんのところに古いギターを買いにきて意気投合し、こんな家があいているんやということで、
1階にギター工房と骨董。2階は、ギターが所狭しとならぶギターコーナーのあるお店「凸」ができました。

■中村さんのところには、ギター好きの人たちが集まり、その人たちが友だちを呼び、
その友だちがまた人を呼びと、口コミで知られるようになりました。
ですから、この店に変わったことも大きく宣伝していないのに、中村さんとギターを追い求めるように
人があつまり、何時間もギターを弾きながら、中村さんのかわりに店番をしてくれている人もいます。
「お店に来た人の相手しよったら、修理する時間がないからの」
自ら店番をかって出ている常連さんは、中村さん以上にお客さまの相手が上手で、ここにいると楽しいと言います。
中村さんのところには、岡山・高知からもギターを求めてやってくる人がいて、
そういう人たちはマニアなので、とにかく上には上がいるもんだと感じるそう。
いいギターを買っても、弾かずに眺めて磨いてばかりのいるひともいるけれど、やっぱりギターは弾いてこそのギター。ここでは弾き放題やからなと常連さんが言うと、中村さんが
「壊れたら直すし」と笑う。
それは、心強いですねっ!(笑)
■ギターは弾かないと解らないとはいえ、相性は持ったときにわかるそうで、
「彼氏や彼女と一緒ですよ」と中村さん。

でも、弾いているうちに気付くことがあって、なんか違うな、間違えたなと思ったら手放し、
もっと相性のいいものを探す。(それがフィットする人もいるので、そういう市場があるわけですね)
そして、一番自分にフィットしたものに出会うまで旅はつづくようです。
この辺も、なんだか男女の出会いと似てますね。
■そんなお話を聞いているところに、ロッカー風の男前のおにいさんがやってきて、
自分のアンプで音を出してみたいので、ベースを借りて帰って良いですかとのこと。
ギターと合うかどうかが一番大事で、低い音がでてくれればいいんだけどと言いながら保証金を出す彼に、
「また、奥さんに怒られるんちゃうん?」と常連さんが声をかけると、「これだけが趣味ですから」と笑い、1978年製のベースと帰っていかれました。

■最近は、40代~50代の人たちのギターブームだけど、1960年~1970年ころのギター少年が、
再びギターを手にとり演奏をはじめているってこと。
1970年のギターブームの頃は、家具屋さんから下駄屋さんまで
木を扱うところのほとんどがギターを作っていたといわれるほどで、
当時たくさん生まれたギター会社も時代とともに淘汰されました。
しかし、姿を消した中に良いギターを作っていた会社もあって、そういうギターを求めてギター探しの旅に出る人も多いそう。
中村さんのところには、70代の方が「今から、ギターをはじめる」とやってきたこともあるそうですだ。
うちにも、ギターはあるんだけど、いかんせん大きくて・・・、上手な人はギターが小さく見えるけど、いつまでたってもギターに征服された感じなんですとはなすと
「これ、ちょっと弾いてみて」と、ちょっと小振りのギターを持たせてくれました。
「すごく抱き心地がいいです(弾けないけど)」
小振りで安くて音がいいギターは、やっぱり人気で、みなさん探されているんですって。
■さて、ギター修理の人は職人だと思いこんでいた私の大きな誤算。
ギターを修理をする人は、ギターの演奏者でもありまして、

「最近は、押尾コーターローとかかな」
と、ギターを手に取ると弾き始めた中村さんの腕にびっくりです。
1935年制のKalamazoo KG-21 格好いい!!
クラシック音楽に使われる、羊の腸を弦に使ったガットギター(今はナイロン弦)は200年以上前から
ポピュラー系の音楽に使う鉄弦のスチールギターは新しく、1920年ごろから・・といっても、すでに90年の歴史があります。
「ギター上達の秘訣は?」
と尋ねると、
「30年、弾かない日はないな。ごはん食べるのと一緒ですよ。練習はすればするほど結果がかえってきますからね」
その言葉聞かせたい人がいっぱいいますわと言うと
「るいままも、ギター初めてください」
おっととと。
■中村さんのギター工房には、ギターのみならずウクレレやマンドリンもあり、
これは趣味と言いながら三味線やヴァイオリンも、修理を待っています。
弦のものは何でも直してくれる頼もしさ。
■さて、本題の「うるしギター」
漆の一和堂工房さんとのコラボで作られたわけですが、このお話がきたとき、どう思いましたかと聞くと
「やってみたいと思いましたよ。ギターは、ほとんどがラッカーやウレタンという化学塗装なんで、自然素材の塗装だとどうなるか興味ありましたね」
うるしギターは「すり漆」という木目が美しくでる技法で漆がかけられており、漆は実に10層。1層塗って「室」で乾かし、また翌日と言う風に何日も何工程もかけて作られました。
漆は塗り重ねることにより、固くしっかりしてきますから、うるしギターの表面は、ほかのギターよりも固い仕上がりになっているはず。
ギターの音色は材質によって変化するとのことで、うるしギターは「思ったりより柔らかい音がでた」そうですが、
漆もギターも生き物なので、30年40年すると、また表情が変わってくるかもしれません。
一和の浅野さんが「漆のものは、仕舞い込まずによく使ってやることほうが、漆のためなんです。漆は強いですから」と言われていた言葉が、
30年ご飯を食べるように弾くという中村さんのことばと重なります。
■残念ながら、うるしギターは、まだまだ地元での認知度が低く、できたのは知ってるけど見たことがないという人が多く
せっかく作ったのだから、もっともっとお披露目したり、どういう工程でできたかをみなさんに知って欲しいと思いまして、
どうすればいいですかね?と尋ねると
「プロの人に使って演奏して欲しいですね。その演奏を聴いた人が、あんないい音がでるなら自分も欲しいなと思ってもらいたいですね」
そうそう、そういう「うるしギター」をとりまくストーリーができないと、なかなか普及していかないんですよね。
※ギター製作工程(ざっくり)
1 材料となる木材がきたら、まず枠組みをつくる。
表面=松 横と裏=ローズウッド・メイプルなど
2 前板はブックマッチという手法で作ります。板を開いて左右対称の木目の板を接ぎ合わせます。
3 ボディができたら、ネックの部分を本体に埋め込みます。
4 フレットは弦の長さできまります。
5 最後に塗装。塗装材料はラッカー・ポリウレタンなどが使われますが。
1950年~1960年当時はラッカー塗装しかなく、その当時の音色を出したいと高級ギターにはラッカー塗装が施されることが多く、
ウレタン塗装は、固くて丈夫で手間もかからないのだけど、音色がどうかというと「?」なので、量産向きの塗装。
早くまとめたいと思っていたのに、なかなか時間がなくて、今頃まとめております。
■中村さんがギター製作・リペアの世界と出会ったのは26年前。
もともと工作好きだった中村青年は、中学くらいからギターを弾くようになって、
ギターっていうのはどうなってできているんだろうと思っていました。
大学生の時、雑誌の後ろに載っていた「ギター製作学校」の記事をみて人生は変わります。

「これだ!」と、親に内緒で大学をやめて「ギター製作学校」に(笑)。
「親には不経済学部だと言われた(笑)」といいますが、今となっては、あの決断は正しかったのですと、きっぱり。
■屋島の瀬戸内ゴルフから北にはいって最初の信号のところにある、今のお店に移ったのは、1年前。


骨董好きのオーナーが、中村さんのところに古いギターを買いにきて意気投合し、こんな家があいているんやということで、
1階にギター工房と骨董。2階は、ギターが所狭しとならぶギターコーナーのあるお店「凸」ができました。

■中村さんのところには、ギター好きの人たちが集まり、その人たちが友だちを呼び、
その友だちがまた人を呼びと、口コミで知られるようになりました。
ですから、この店に変わったことも大きく宣伝していないのに、中村さんとギターを追い求めるように
人があつまり、何時間もギターを弾きながら、中村さんのかわりに店番をしてくれている人もいます。
「お店に来た人の相手しよったら、修理する時間がないからの」
自ら店番をかって出ている常連さんは、中村さん以上にお客さまの相手が上手で、ここにいると楽しいと言います。
中村さんのところには、岡山・高知からもギターを求めてやってくる人がいて、
そういう人たちはマニアなので、とにかく上には上がいるもんだと感じるそう。
いいギターを買っても、弾かずに眺めて磨いてばかりのいるひともいるけれど、やっぱりギターは弾いてこそのギター。ここでは弾き放題やからなと常連さんが言うと、中村さんが
「壊れたら直すし」と笑う。
それは、心強いですねっ!(笑)
■ギターは弾かないと解らないとはいえ、相性は持ったときにわかるそうで、
「彼氏や彼女と一緒ですよ」と中村さん。

でも、弾いているうちに気付くことがあって、なんか違うな、間違えたなと思ったら手放し、
もっと相性のいいものを探す。(それがフィットする人もいるので、そういう市場があるわけですね)
そして、一番自分にフィットしたものに出会うまで旅はつづくようです。
この辺も、なんだか男女の出会いと似てますね。
■そんなお話を聞いているところに、ロッカー風の男前のおにいさんがやってきて、
自分のアンプで音を出してみたいので、ベースを借りて帰って良いですかとのこと。
ギターと合うかどうかが一番大事で、低い音がでてくれればいいんだけどと言いながら保証金を出す彼に、
「また、奥さんに怒られるんちゃうん?」と常連さんが声をかけると、「これだけが趣味ですから」と笑い、1978年製のベースと帰っていかれました。

■最近は、40代~50代の人たちのギターブームだけど、1960年~1970年ころのギター少年が、
再びギターを手にとり演奏をはじめているってこと。
1970年のギターブームの頃は、家具屋さんから下駄屋さんまで
木を扱うところのほとんどがギターを作っていたといわれるほどで、
当時たくさん生まれたギター会社も時代とともに淘汰されました。
しかし、姿を消した中に良いギターを作っていた会社もあって、そういうギターを求めてギター探しの旅に出る人も多いそう。
中村さんのところには、70代の方が「今から、ギターをはじめる」とやってきたこともあるそうですだ。
うちにも、ギターはあるんだけど、いかんせん大きくて・・・、上手な人はギターが小さく見えるけど、いつまでたってもギターに征服された感じなんですとはなすと
「これ、ちょっと弾いてみて」と、ちょっと小振りのギターを持たせてくれました。
「すごく抱き心地がいいです(弾けないけど)」
小振りで安くて音がいいギターは、やっぱり人気で、みなさん探されているんですって。
■さて、ギター修理の人は職人だと思いこんでいた私の大きな誤算。
ギターを修理をする人は、ギターの演奏者でもありまして、

「最近は、押尾コーターローとかかな」
と、ギターを手に取ると弾き始めた中村さんの腕にびっくりです。
1935年制のKalamazoo KG-21 格好いい!!
クラシック音楽に使われる、羊の腸を弦に使ったガットギター(今はナイロン弦)は200年以上前から
ポピュラー系の音楽に使う鉄弦のスチールギターは新しく、1920年ごろから・・といっても、すでに90年の歴史があります。
「ギター上達の秘訣は?」
と尋ねると、
「30年、弾かない日はないな。ごはん食べるのと一緒ですよ。練習はすればするほど結果がかえってきますからね」
その言葉聞かせたい人がいっぱいいますわと言うと
「るいままも、ギター初めてください」
おっととと。
■中村さんのギター工房には、ギターのみならずウクレレやマンドリンもあり、
これは趣味と言いながら三味線やヴァイオリンも、修理を待っています。
弦のものは何でも直してくれる頼もしさ。
■さて、本題の「うるしギター」
漆の一和堂工房さんとのコラボで作られたわけですが、このお話がきたとき、どう思いましたかと聞くと
「やってみたいと思いましたよ。ギターは、ほとんどがラッカーやウレタンという化学塗装なんで、自然素材の塗装だとどうなるか興味ありましたね」
うるしギターは「すり漆」という木目が美しくでる技法で漆がかけられており、漆は実に10層。1層塗って「室」で乾かし、また翌日と言う風に何日も何工程もかけて作られました。
漆は塗り重ねることにより、固くしっかりしてきますから、うるしギターの表面は、ほかのギターよりも固い仕上がりになっているはず。
ギターの音色は材質によって変化するとのことで、うるしギターは「思ったりより柔らかい音がでた」そうですが、
漆もギターも生き物なので、30年40年すると、また表情が変わってくるかもしれません。
一和の浅野さんが「漆のものは、仕舞い込まずによく使ってやることほうが、漆のためなんです。漆は強いですから」と言われていた言葉が、
30年ご飯を食べるように弾くという中村さんのことばと重なります。
■残念ながら、うるしギターは、まだまだ地元での認知度が低く、できたのは知ってるけど見たことがないという人が多く
せっかく作ったのだから、もっともっとお披露目したり、どういう工程でできたかをみなさんに知って欲しいと思いまして、
どうすればいいですかね?と尋ねると
「プロの人に使って演奏して欲しいですね。その演奏を聴いた人が、あんないい音がでるなら自分も欲しいなと思ってもらいたいですね」
そうそう、そういう「うるしギター」をとりまくストーリーができないと、なかなか普及していかないんですよね。
※ギター製作工程(ざっくり)
1 材料となる木材がきたら、まず枠組みをつくる。
表面=松 横と裏=ローズウッド・メイプルなど
2 前板はブックマッチという手法で作ります。板を開いて左右対称の木目の板を接ぎ合わせます。
3 ボディができたら、ネックの部分を本体に埋め込みます。
4 フレットは弦の長さできまります。
5 最後に塗装。塗装材料はラッカー・ポリウレタンなどが使われますが。
1950年~1960年当時はラッカー塗装しかなく、その当時の音色を出したいと高級ギターにはラッカー塗装が施されることが多く、
ウレタン塗装は、固くて丈夫で手間もかからないのだけど、音色がどうかというと「?」なので、量産向きの塗装。
Posted by るいまま at 02:56│Comments(1)
│■人
この記事へのコメント
そのことば聞かせたい人
自分の近くにもそんな奴が居った様な気が・・・
自分の近くにもそんな奴が居った様な気が・・・
Posted by マイト at 2009年12月16日 21:56
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。