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2015年06月04日

「自由でゆるやかな共生

「自由でゆるやかな共生



影山知明著「ゆっくり、いそげ」読了。

ゆうべ、偉そうに、ご飯を食べたら「建礼門院」を書き始めるといったのに、

さすがに前日3時間しか寝てないと知らぬ間に気絶していて、朝、4時30分に目が覚めた。

掃除してごみを捨てて、猫の世話をしても5時。

そうだそうだ、なタ書のキキに借りた本を読んでおこうと広げる。


東京・西国分寺にあるcafeクルミドコーヒーの店主であり

経済学の解説者でもある影山知明さんの「ゆっくり、いそげ」。

私たちは、東京都いえば人があふれる街で、

まして国分寺という響きよき場所だからカフェには最適と思うけれど、

ここは中央線の中で最も乗降客の少ない駅で

儲かるか儲からないかで考えれば、立地として選びにくい場所であることから話は始まる。


影山さんは、ここに多世代型シェアハウスをつくり、

その一階にクルミドコーヒーを開店させ、地域とともにさまざまなことを発信している。

そこには、儲けるためには、ただ与えられることを考えるのではなく、

与えることから始めるという大きな前提がある。



実は、昨日、私は事務所の建つ小さな土地を買った。

父が若いころアパートを建てるために借りた土地だ。

たった四畳半の部屋、半畳の台所と押入れ、細い廊下でつながる小さなアパートは、

私が知っている頃には単身者の暮す場所だったが、昭和40年代までは家族で暮らす人も多かった。

高度成長にのるまでの日本人はそんなに荷物を持っていなかったし、隣近所の付き合いも深く、

ひとつの洗濯機をみんなで使う暮らしも当たり前だったと聞く。

アパートは老朽化し20年も前に廃業して、私が娘と暮らしたり、事務所として貸し出したりしていたが、

ここ数年は「るいまま組」の拠点となっている。


私たちの世代は、日本が大きく経済成長していく頃に子どもで、

学生運動が盛んだったころは、まだ中学生。

団塊世代よりも年下なので、さほど競争社会におかれたことはなく、

おとなになればなったで、バブルと言われる時期にちょっと贅沢も味わった。

親世代は、戦後復興のときに相当な苦労をしているので、

私たち子どもたちにはできる限りのことをしてやろうと、子どもに対しとても甘い。


つまりは、歴史的にいえば、私たちは人間として一番ぼんやりしている世代だ。


経済的に苦労しなかったぼんやりな私たちは、過剰な愛情に呼吸をしにくくなり、

自由や孤独を求めるようになった。なんでも与えられすぎると、その逆に向かうということだ。


浮かれ調子なぼんやりした親に不安を感じているからか、娘世代は、とてもしっかりしている。

まわりのワカモノを見ていてもまばゆいばかりだ。



カフェで隣同士になった20代前半の女の子とはなしていたとき、

「何か買うとき、とりあえず買ってあとから考えるなんてことはなく、

必要なものしか買わない。いや買うことも少なく、もらえるものはもらう。

自分の欲しいものは電化製品でも高価な家具でもなく、自分にとって気持ちのよいもので、

それは多種多様だから、流行におされたものはいらない」


なんて賢い。


50代になったからこそ、あふれる荷物にうんざりしているからこそ、同じ思いになるけれど、

20代の初めにそんなことを考えたこともなかったように思う。

いただいたりさしあげたり、そんな暮らしは孤立していてはありえないので、

ゆるやかな共生があってこそ成り立つのだという彼女たちを、すばらしいと思いながら、

それはまさに「るいまま組」のある、この場所にあった小さなアパートの暮らしだなと思った。



先日、夫が還暦を迎え、それまで私の活動の力強い協力者だった彼から弱気な言葉が発せられたとき、

私はひどく動揺した。

しかし考えてみれば、数年後、私も同じ道をたどる。

10年前に癌を患い、残された時間は短い、ふりむかず前へ前へと進み続けたが、

命はそうそう終わりのときをむかえそうになく、普通に生きれば、まだ30年以上の時間がある。



私に一番足りないものは、ゆるやかな共生だ。

プロジェクトをたてて、その期間がっちりと結び合うことはできても、

ゆるやかに、ときには弱音をはけるような関係性を持たない。

なにより「待つ」ことができない性格では、他者と歩調をあわせるのは難しい。

しかし、やがて体も心も、それなりにゆるやかにならなくてはいけないときが来るのだ。

先に迎えた夫は、それを言葉にして教えてくれたのだろう。


この街から抜け出すことばかりを考えていたので、ここへの愛着もなかったはずだが、

マンションよりも古い木造の建物のほうにほっとし、

近くに暮す老いた親や、障害をもった兄を捨て置くわけにもいかず、ならばここに暮らし、

ここからの発信を考えようと思った次第だ。


考えていたのは、仕事に追われて閉店ばかりの気分次第亭をもっとまじめにやること。

ここでの出会いや繋がりは尊い。

大きな借金の目途がつけば、ワンステップすすめシェアハウスにしよう。

朝ごはんを一緒に食べられて、いってらっしゃいと送り出せる場所をつくろう。



そんなときの、この本だった。


クルミドカフェの基本姿勢は、古い日本の心意気にあふれている。

「かけるべき時間をちゃんとかけ、かけるべき手間暇をちゃんとかけ、いい仕事をする。

さらにはその仕事を丁寧に受け手に届け、コール&レスポンスで時間をかけて関係を育てること。

つまり「贈る」ことを仕事の目的にする」



さてさて、ぼんやりとした世代の私にできるかどうか(笑)
















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この記事へのコメント
るいままさん、6/6はおもしろい夜でした。

いろんな「たまたま」が連なった先のフシギな夜でもありました。

あの日あの場所で聴いたいろんなお話、影山さんのお話はもちろん、アフターでのお話や、宇宙コーヒーやら、私にとってはおもしろい「種」をもらったようで、とても楽しみを感じます。

この影山さんの本もベストタイミングで読んでみよう! そうだ、るいままさんはどんなカガクハンノウだったのだろう? と、こちらに参りました。
「自由でゆるやかな共生」 という言葉の鍵をひとついただきました。 
自分がこれからどこに向かいたいか、まだぼんやりなのですが、ゆっくり考えていきたいと思います。

あの夜、いろいろお話できて、イモウトのことのお礼もお伝えできて、うれしかったです(^-^)♪
Posted by ナオコマルです(^-^) at 2015年06月08日 17:54
ナオコマルさん。

ほんとに 楽しい夜でしたね。ナオコさんがチヅコさんの心をときほどくように お話を引き出す姿に、さすがだなぁと、ほれぼれするような夜でもありました。

またの偶然をたのしみにしております。
Posted by るいまま at 2015年06月17日 00:35
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「自由でゆるやかな共生
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