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2025年05月05日

ひとつひとつ 江波冨士子硝子展

【ひとつひとつ】

硝子作家 #江波冨士子 さんに会ってきた。


江波さんの作品は、小さな硝子のパーツを組み、それを吹きガラスで形作る。

ヴェネツィアに似た技法はあるけれど、ヴェネツィアングラスのパーツは型押だが、#江波さんのパーツはひとつひとつ手作り 。

だから、基本はヴェネツィアで学んだが、江波さんは独自の道を歩んだ。

ヴェネツィアの職人たちは屈強な男性が多く、量産することが一番とされる。それは、ヴェネツィアという街の事情にもかさなる。ヴェネツィアは決して裕福な街ではなく、国益として作り続けなくてはならず、いかに効率よく作るかを強いられる。

それは、やっぱり自分が思うものとは違うなと思ったのだそう。

■江波さんの作品は緻密で、組み込まれたパーツひとつひとつに物語があり思い出がある。

30年前に初めてつくった硝子のパーツ西瓜から、2025年の愛犬までを額装したタペストリーの前でお話を伺った。

小さなものは、5ミリにも満たないが、ちゃんとひとつひとつ絵がわかる。

「最初にスイカを作ったとき師匠からスイカの種は丸ではなく長いでしょ。どんなに小さくてもリアリティはなくてはいけないと教えられたんです」

気の遠くなるような仕事に驚いたが、江波さんは、そのことを楽しそうに話す。

「これは鯉のぼり。これが滝。やがて龍になるというお話です」。

「彼岸花を見ていると黒アゲハが飛んできて舞ったんです。まるでオペラ劇場のようでした」と、ふたつの小さなパーツが並んでいる意味。

「シロツメ草は、昔、硝子を輸出するときの緩衝材として使われていたそうなんです。それでいろんな国で種をおとし広がっていったそうです」と、シロツメ草のパーツをみながら教えてくれた。

この細かなパーツを組んで板状にしたあと硝子をふく。

どんなにうまく組めたと思っても吹きガラスのところで割れてしまうこともあり、それまで何年もかけて作ってきたパーツも全てダメになる。

「捨てることは忍びなく、戒めもこめ、壊れたものも全てジップロックにいれてとっているんです(笑)」

■どんなに言葉を尽くしても、江波さん作品の魅力を伝えるのは難しいとわかりながら、まだ書くのだが、

https://www.instagram.com/p/DJJoV5STSkU/?igsh=bGsxNGlpbzVldWdq

この江波さんのInstagramにある、たかすの杜を背にした、お花畑のような大皿は5層になっている。

型押ではないから、咲いた花、花びら、蕾、葉etc がいくつも重なり、自然のなかにいるようで何時間みても飽きない。

六角形をつなぐ蜂の巣のような器には、ちゃんと蜜蜂が隠れている。

同じシリーズでも、日に翳すと、全て違う光を受け取り万華鏡のようだ。

■4000年前の偶然の化学反応から硝子はうまれた。その頃は色硝子で、ツタンカーメンのマスクの脇は、この硝子だちだ。

透明硝子と白硝子が同時期に生まれたことにより、ヴェネツィアの #レース硝子 は生まれた。

レース硝子の発想は、元々ヴェネツィアムラーノ島は、レース産業が盛んでレース職人たちがくらす島だったから。モチーフに海藻のような形があるのは、島には漁師さんのいるから。

全ては、暮らしのなかで繋がっている。

■ヴェネツィアでは、デザイナーよりも職人(アルティジャーノ)がずっと上位にある。

小柄な江波さんは、デザイナーとしてヴェネツィアにきたと思われていたが、プロフィールにあった硝子を吹く写真に、きみは職人だったのか!とまわりの見る目がかわったそう。

ものづくりの街は、職人を守る街だ。それは、技術大国だった昔の日本に似ている。

ふわふわと目に見えぬものではなく、地に足ついたものが大事にされる世界に戻りますようにと思いながら 蓮のうてなをあとにした。




※ 写真は、連れ帰った 江波冨士子さんの作品 アーガイル。

子どもの日にちなんで、柏餅と一緒に写してみた(笑)

………

初日の4時に訪ねたのだけど、江波さんの作品を求めて県外からもお客さまが押し寄せ、すでに、たくさんの作品が連れ帰えられておりました。ご興味ある方は、お早めに!

【江波冨士子硝子展】

2025年
5月4日(日) - 10日(土)
AM10:00~PM6:00

春から夏へ
太陽を浴びて生き生き輝く
緑や風を想いながら制作致しました
江波 冨士子

期間中無休

今新町 たかすの杜 蓮のうてな

■前日に開催された 江波冨士子さんを囲む お茶会の様子。

https://www.instagram.com/p/DJNg3ekztXq/?igsh=MXE2YnE0ZXRoeTFleQ==