2025年03月04日
真似る 学ぶから
【真似る 学ぶから】
#私の初茶碗は、小学5年生のとき。稽古道具をおさめる短冊箱のために、この中から選びなさいと言われ廉価な茶碗から取り出された一碗だ。
わかり易い絵模様の京焼もたくさんあっただろうに、小学生が選ぶには渋すぎる、#くすんだ茶とも灰色とも言えぬ茶碗に謎の花が1輪。
おへそみたいな焼き傷もあって、私が選んでやらねば誰にも選ばれないだろうと、子どもながらにおもったのだと思う。
自宅に先生が来て、炉もない和室で、風炉と釜と短冊箱の中の一揃えだけで稽古をし、休みたくても休めない何年かがすぎ、茶道なんか大嫌いと離れて、
道具もあっちこっちとやられながら40年経ったとき、
とある事情で短冊箱を開くと、志野焼風水指は水漏れしていたが、その茶碗と備前の建水は欠けることなくそこにいて、
大嫌いだったはずの茶を、#道はずれのまま野良の状態 で再開した今、うちの茶室に稽古にくる盆点前ガールズたちに「点てやすい」とよく選ばれる。
先日、#岡山県立博物館 の「茶碗 茶の湯にふれる」展にいったとき、#桃山時代 の絵唐津菖蒲文茶碗の花の図を見ながら、あの子に似てるわと、ちょっと嬉しくなった。

時代をこえ残っていく重要な茶碗には、のちに伝えていくものがたくさん詰まっている。技術だけでなく秘められた歴史であり、それに触れて見て感じた人々の思いもあるにちがいない。
稽古用とはいえ、茶の湯の茶碗を作るひとたちは、歴史を抱えた名品を真似ながら学んだのだろうとも思う。
#茶の湯茶碗 シリーズ は、東洋陶磁美術館の梶山さんが責任編集した、江戸以降の名物名品が収められた「#和物茶碗2」から読み始めたので、茶碗もかなり端正な姿になり、図も緻密だったりデザイン性が高かったりで楽しかったが、
岡山県立博物館の重根さんが責任編集の「#和物茶碗1」は、輸入品であった、唐物、高麗物を真似る学ぶから、日本独自の世界を作るために切磋琢磨した職人たちの力強さを感じる世界だ。
戦国時代が好きなひとたちは、この力強さ荒々しさに感じる息吹が好きなんだろうね。
#茶の湯の茶碗雑感