2025年01月19日
自惚れと卑下
【自惚れと卑下】
1/19 goodmorning
テレビをつけると、いきなりお宝鑑定団に「太宰の葉書」。
「過度な自惚れと過度な卑下」と太宰の人生を説明していたが、
太宰がファンの悩める少年に向けてだした返信には、年長の作家として優しい言葉が並ぶ。
人間は多かれ少なかれ「自惚れと卑下」の間で生きている。それを上手に扱えるか、不器用なかだけだ。
そして、それは常に揺れ動いているものだから、そのひとの人生のどのあたりで出会うかで、ひとの評価は変わる。
根っからの質は変わらずとも、年齢や経験や相手でも変化していき、太宰は、少年の悩みにはおとなになれれども、相手が甘えられるひとと思えば、とことん甘えてしまう子どもから抜け出せない。
これ以上してはならぬと思いながら、相手を試すように甘える様は、太宰の幼稚性ではあるが、それも魅力のひとつだと思う時代だったのだろう。
どうしようもないひとには「自分だけはほかのひととは違う、自分ならなんとかできる」と思うひとが寄ってくる。
孤独だなんだと泣きながらも、たったひとりではなかった。

……………
太宰にしても、藤村にしても、雨情にしても、昭和に生まれ令和に生きなくて良かったかもなと思う朝。
命や私生活を削るように良い作品を残したとしても、プライベートの隅々まで清廉でなければ、生かしてはくれない時代になった。

Posted by るいまま at 14:18│Comments(0)
│■るいまま
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