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2023年06月26日

音楽と言葉「壁の鏡とおひめさま」上演までの紆余曲折記録


【音楽と言葉「壁の鏡とおひめさま」上演までの記録】

今回、初演となる 音楽と言葉「壁の鏡とおひめさま」。
この作品が形になるまでには、数え切れないほどの紆余曲折があった。長い長い記録だが、まずは、そこを書く。

音楽と言葉「壁の鏡とおひめさま」上演までの紆余曲折記録



■2019年12月10日(戦う白雪姫)
原型となる、るいまま版「戦う白雪姫」を書き始めたきっかけは河合隼雄『昔話の深層 ―ユング心理学とグリム童話』だ。
内容はすっかり忘れてしまったが、2019年の石あかりsidetripLIVEが9月終わってすぐ資料として読み始め、そこに出てくる自立する白雪姫を中心に話を組み立てようとした。

が、その年の12月10日「河合先生の解釈は全部捨てて今日から書き出す。壁の鏡がキー」とblogにある(笑)

音楽と言葉「壁の鏡とおひめさま」上演までの紆余曲折記録



■2020年2月26日(コロナ)
コロナで世の中がざわざわし始めた。国会中継を流しながら1稿目の最後の部分を書きながら「コロナウイルスに対し、なんだか他人事みたいな安部さんに「?」って思うばかり。

そのせいでもないんだが、結局、「壁の鏡とお姫様(仮)」は、王様が逃げちゃう話になっちゃったよ」とblogにある。

そののち、安倍さんがあんなことになってしまうなんて。


■2020年3月17日(一稿目できあがる)
一稿目ができあがり、ダッパーサクセーバーズに音楽をお願いする。「ジローに吹いてもらえるだろうか?」とメールをすると「喜んで」と返事がきて、音楽班、演技班に原稿を送り、いよいよ 音楽と言葉「壁の鏡とおひめさま」は始動。

音楽と言葉「壁の鏡とおひめさま」上演までの紆余曲折記録


■2020年3月18日(音楽班 演技班 初顔合わせ)
その年の9月12日が本番と決まり、音楽班と演技班の初顔合わせ。


■2020年3月25日(演技班 初稽古)
演技班の初稽古。当初の配役は、くりす、恵美さん、みっけ、ぴよ、奈美ちゃん。喜劇好きのるいまま組は水を得た魚状態で、稽古は良い具合に進む。

「くりす」がタイトルロール「壁の鏡」。悪女だけれど憎めない「壁の鏡」のことを、あなたも、きっと好きになるはずとmemoにある。

音楽と言葉「壁の鏡とおひめさま」上演までの紆余曲折記録


■2020年4月初旬(石あかりロード2020中止)
石あかりロード実行委員会から、むれ源平石あかりロード2020の中止が伝えられる。

首都圏と地方ではまだまだ感覚が違っていたが、4月にはいりコロナ感染で亡くなった方のニュースが続き、もはや他人事ではない状況になる。

音楽と言葉「壁の鏡とおひめさま」上演までの紆余曲折記録


■2020年4月22日(コロナで稽古もできなくなってしまう)
たとえコロナでも、稽古はすすめておこうと思っていたが、ひとと会って話をすることがはばかられるようになる。医療や介護関係に勤める人たちは特に締め付けが厳しくなり、稽古もできなくなってしまった。

ピアニストであり、主役「壁の鏡」でもある くりすとzoomで話をしながら、るいまま組との毎週の稽古がどんなに尊い時間であったかの話をする。

「毎週、毎週、なんだかんだと課題があって、それをこなしていくことで本番に向かう力を得ていた」とくりすが言い、「だから、4月なんて、あっという間だったのに、今年は4月が長いなぁ」と話す。


■2020年4月28日(ラジオドラマを作る)
役者を仕事とし劇団での活動が中心のひとたちには、特に大変な時がきた。
劇団「柿喰う客」5月公演 新作「夜盲症」も延期となり、チケット払い戻しが始まる。

私たちも、このままではいけない。zoomやLINEでつなげてリモートのラジオドラマを作ろうと、るいまま組音楽と言葉公演に関わっていただいたみなさんに声をかけ、4月から3ヶ月をかけ文化人ラジオドラマ「まちの風景」をつくる。
なにかしていなければ生まれる焦燥感を、このラジオドラマ制作がずいぶん和らげてくれた。


■2020年8月26日(絶望からの脱却のために)
本当なら、石あかりで大忙しの時期。ただ、この頃になって、私は自分のなかの変化に気づく。

「台風がきても、野外公演の途中で雨が降っても、やめない女、意地っ張りの塊だったのに、コロナで中止が決まったとき、あまりにあっさり受け入れたことにびっくりした。もう、私は頑張れなくなっている」

そんな中、太宰の短編小説集「御伽草子」を読む。
太宰は、戦禍を逃れ転々とするなか執筆をつづけ、これを疎開先の甲府の防空壕で書き上げた。「脱稿直後の7月7日未明、疎開先の家も全焼の憂き目に遭うが、長女を背負いながら原稿を持ち出し、敗戦から2か月後の10月25日、『お伽草紙』は出版された」

日本がどうなるかわからないときも、太宰は書き続け、出版にまでもっていったという事実は、たぶん、先の見えない日々に絶望する人を励ました。

来年、コロナがどうなっているかわからないが、一旦止めていた、音楽と言葉「壁の鏡とおひめさま」の衣装を発注した。やめる理由はいくらでもあるが、作品は、必ず形にして発表する。

音楽と言葉「壁の鏡とおひめさま」上演までの紆余曲折記録



■2020年11月15日(来年にむけての打ち上げ)
石あかりsidetripLIVEat洲崎寺2020は中止になったけれど、この日、牟礼町で花火があがることになり、るいまま組と縁の深いコアなメンバーとの打ち上げをすることにした。

コロナで、さまざまなものが分断したが、ひさびさに会うひとたちは、みんな何にも変わっていない。

2020年の石あかりは、この日の花火とともに終了。明日からは2021年のことを考える。

音楽と言葉「壁の鏡とおひめさま」上演までの紆余曲折記録

音楽と言葉「壁の鏡とおひめさま」上演までの紆余曲折記録



■2021年2月28日(またも石あかり中止)
2019年のるいまま組音楽と言葉作品は漱石の「夢十夜」をベースにした難しい作品だったので、次はみんながよく知るお姫さまが出てきて好きなことをいう明るいお話をと思い書いたのに、コロナ騒動で石あかりは中止。

来年の夏にはできるだろうと思っていたら、コロナは年を越してますます猛威をふるい、石あかりは、またも中止となる。

このまま寝かしていたら公演できなくなってしまうかもしれないと、誕生日の子のプレゼントがわりに余興公演をしてみる。楽しくはあったが、稽古を重ねていない公演は、なにも残らない。

稽古を重ねて練り上げてこその音楽と言葉。こんなんじゃない。


■2022年5月2日(母がたおれる)
91歳にして介護認定もうけたこともない、もちろん介護サービスをつかったこともない、自転車暴走ばあさんと呼ばれ元気で自立していた母が、心不全で倒れ、まさかの緊急入院。


■2022年11月11日(再びの入院)
夏に一旦退院したものの、じっとしていられない因果な性格。弱った心臓は、家の掃除をしたり買い物にいくだけでオーバーヒートし、また入院。

前回の入院前から始まった、見えないものが見える「せん妄」が増え、亡くなったひとや知らないひとが訪ねてきたりして眠れない日がつづくようだった。


■2023年1月8日(緊急搬送)
いよいよ退院という直前、母がベッドから落ち頭を打って中央病院に緊急搬送。

しかし92歳という年齢、心不全を繰り返していることで手術はせず様子をみるためHCUへ。その前に会っておいてください。次はいつ会えるかわかりませんからとドクターから説明を受け母に会う、意識は朦朧としているけれど、声は聞こえているようで反応はある。

夫や娘に病状を連絡したとき「深刻になりたくない」と話した。自分ではどうにもならないことを深刻ぶりたくはない。

母は、ここでも復活する。しかし、面会のできない入院は身体の療養できても何かを失っていく。身体の数値だけが人間の健康ではないのだと痛感。


■2023年1月13日(母要介護3になる)
私の誕生日、2度目の介護保険認定証がとどく、去年の春に、認定を受けたときは要支援1で、十分自宅で自立でき本人もやる気まんまんだったけど、今回は要介護3。

「これまで助けがあれば自分でできていたことができなくなり、全面的な介護を必要とする状態です」とある。


■2023年1月17日(石あかりの卒業をきめる)
「長期介護」が現実のものとなってきた。

高松市牟礼町とは20年近いお付き合いとなる。石あかりロードの洲崎寺でのライブは15年間何百と企画し、どれもこれも楽しいものだった。でも、どんなに楽しいことでも、いつかは区切りをつけないといけないときは来る。

ただ、石あかりのために書いた 音楽と言葉「壁の鏡とおひめさま」だけは、洲崎寺で初演を迎えたいと洲崎寺さんに話し、コロナがどうなっていても半年後の6月24日に公演をきめる。


■2023年1月下旬
母が、家で過ごしたいという思いはなるべく叶えてやりたい。しかし、私はまだ仕事をやめて母にかかりっきりにはなれない。閉じこもっていると、またせん妄に苦しめられる。

ケアマネージャーさん、ソーシャルワーカーさんに意見をきき、施設に見学に行く日々がはじまる。


■2023年1月31日(女子あるあるですよ)
とある施設の職員さんから

「もし、こちらに来るとなったら、おしゃべり好きなおばあちゃんばっかり10人くらいのユニット型で生活していただこうと思います。
おばあちゃんは、仲よさそうに話していたかとおもうと、なにかの拍子でご機嫌が悪くなる。でもまた知らないうちに仲良くなっている。女子あるあるです」と明るく説明があった。

いくつになっても女子は女子。おしゃれもしたい、見栄もはりたい、たまにはマウントもとりたい。

でも、そんなことができるのも、身近にひとがいて話ができるからこそ。不自由になった身体で、ひとり家のなかでいたのでは、また見えないものに取り憑かれてしまう。

ひとはひとによって傷つくけれど、ひとによって元気ももらう。孤高を貫けるほど強くはない。

この事がきっかけで、音楽と言葉「壁の鏡とおひめさま」はリライトされる。


■2023年3月1日
2月の音楽と言葉「八雲と雪女」の初演が終わり、いよいよ新しくなった音楽と言葉「壁の鏡とおひめさま」の稽古が本格的に始まる。新しくメンバーに康秀くんが加わる。


■2023年3月22日
当初の配役は、400歳の壁の鏡(くりす)、115歳のオーロラ姫(ぴよ)、お妃様(康秀)、白雪姫(奈美)、妖精(きんじ)となっていた。

けれど、稽古を重ねるほどに、おばあさんたちを助ける勇者白雪が可愛すぎて、助けられるお妃様に見下ろされるという不具合。いっそ入れ替えるか!となる。

奈美ちゃんがお妃様になれば、サックス兄妹としてアンサンブル演奏をするきんじは、妖精から王様に格上げ。

それから6月24日まで一回も休むこと無く稽古は繰り返され、本番を迎える。

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