2023年11月06日
あれから1年 山地ありがとうね。
【あれから1年】
去年の文化の日、音楽と言葉と喫茶店「香川の文化を伝えようとした女」という公演を打った。
編集者 #山地美奈 が、#PRkagawa に残した言葉で構成した音楽朗読劇だ。

いま思えば、なぜあの時だったのか、なぜ私だったのかと不思議なことは多い。
でも、あの時、私はどうしても山地美奈の言葉を伝えたかったのだ。本棚にしまわれたPRkagawaをもう一度広げ、みんなに読んで欲しかったのだ。
それが、山地が旅立った日と重なる日であったのは、のちに気づいたことだ。
思ったら、すぐに動かないと、また後悔する。
私のなかには、とある駐車場で私をみかけ、わざわざ引き返して「るいままさーん」と山地が声をかけてくれたのに、「また、ゆっくり会おうね」なんて曖昧な約束で別れたままになったことへの自責があった。
原稿を書き、山下アキさんの力を借りて、るいまま組と稽古を進めていたある日、山地のお兄ちゃんから電話があった。
家族にとれば、抱えきれないほどの悲しみを、なんとかおさめ、やっと落ち着きはじめたときに、また気持ちをかき乱されることになる。特に親父の気持ちを考えると納得できないとお兄ちゃんは言った。
ほんとにそのとおりだ。
それから何時間話しただろう。電話は1度切れてまた繋がり、やがて、お兄ちゃんは私の知らなかった山地のことを話してくれるようになった。
口では妹とは合わないのだと言うけれど、妹のこともお父さんのことも思う優しいひとだということは強くつたわった。
公演前に坂出でお兄ちゃんと会うことになり、お兄ちゃんは山地に変わって、坂出のまちを案内してくれた。にぎやかだった坂出の商店街のこと、山地の友だちのこと。歳の近い兄妹だからこその話は続いた。
そして、公演当日、アキさんがお父さんから預かってきたよと山地の写真をもってきてくれ、お兄ちゃんからは「落ち着いて!」とLINEが届いた。
翌朝、お父さんから「ずっとblogを読んでいます。美奈のことをこんなに思ってくれてありがとう」と電話をいただき、私は泣いた。
「また、会おうね」という約束は果たせなかったけれど、PRkagawaを通じ、山地がこんな優しいひとたちに引き合わせてくれたのだと思った。
あれから1年。
今日、山地のお父さんにお目にかかった。山地の写真がかざられたお部屋で話したあと、お墓参りもさせていただき、スターバックスでアイスコーヒーをごちそうになりながらたくさん話した。
気がつけば2時間半。
そのとき、お兄ちゃんが注文したえらく可愛らしいのみものとは別に、まちがいなくアイスコーヒーの写真も写したのに、家にかえってみるとアイスコーヒーの写真だけがなかった。
ああ、山地もあの席にいたんだ。
アイスコーヒーもっていったんだな。アイスコーヒー好きだって言ってたもんな。
山地の書き癖は、心地よい前のめり。抑えられない「好き」が、紙面の隅々にまである。
そんな情熱を忘れないために、私の傍らには、いつもPRkagawaがある。
山地、今日はありがとうね。
お兄ちゃんが飲んだ 可愛らしいやつの写真貼っとくよ(笑)

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