2018年10月14日
妻はあなたのママではないのだよ。
【もうママから卒業せなね♪】
#鴻上尚史 よくわかってるなぁ。
未だに、妻に母親を求める未熟な中年男子にも驚くが、こんなに優しく諭す鴻上さんにも驚く。さすがだ!
会社という鎧がなくなったとき、この中年男子はなにに拠り所をみつけるんだろう。妻は、とっくにその頃が見えていると思うよ。

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■上記より転載しました。
「妻が働きたいと言いだしました」怒る夫に鴻上尚史が伝えた言葉とは?
更新 2018/10/9 16:00 dot.
作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします!...
鴻上尚史の人生相談。「結婚して子どもがあと2年で中学生というタイミングで、働きだしたいと言ってきた妻にルール違反だ」と相談者。家庭にいることを合意で結婚したと主張する相談者に鴻上尚史が答えた、夫へのアドバイスとは?
【相談7】今さら働きたいと言いだした妻(相談者:41歳 男性 きーやん)
結婚して十数年、妻と小学5年生と6年生の2人の息子がいる4人家族の父親です。結婚前から妻は子どもを産んだら家庭に専念したいという希望で、私も仕事が金融の営業職で超忙しく、お互いの家族観が一致して一緒になり、今までそれなりに過ごしてきました。しかし最近になって、子どもが中学にあがったら(2年後)、今のパート先(食品会社)で正社員の試験を受けたいと言いだしたのです。そう会社で勧められたと言うのです。そのうえ、そうなったら家事も少し分担してほしいと。
はっきり言って「冗談じゃない」と思いました。結婚前、子どもが生まれたら妻は家庭に入るということで、お互いに納得して結婚したのです。家庭に支障をきたさないパートならと今まで許していただけです。
さらに頭にきたのは「これから子どもの教育にももっとお金がかかるし不安だから」と。結婚してはじめて妻を「今さらふざけたこと言うんじゃない」と怒鳴ってしまいました。
同僚などに相談しても「一回働かせてみれば、世の中の厳しさがわかるよ」とか「家事をすべてやるっていう条件なら、お金が入るからいいじゃん」などと言いますが、絶対に家事がおろそかになるに決まっています。被害にあうのは息子たちで、息子たちにも聞いてみたら「お母さんが働くのはやだ」と言っています。最初からお互いフルタイムで働くという前提で結婚した夫婦はそれでいいでしょうが、結婚して十数年も経って突然、自分の生きがいのために方向転換を家族に強要するなんて、妻のルール違反ではないでしょうか。
【鴻上さんの回答】人生には「ルール違反」はつきもの
きーやんさん。相談、ありがとうございます。いや、きーやんさん、というのはなんか変なので、きーやん。(と書くと、なんか居酒屋で話してるみたいな雰囲気になるね、きーやん)
僕がきーやんの相談を読んで浮かんだのは「熟年離婚」という単語です。
驚きましたか? まだまだ先のことですが、このまま、きーやんが奥さんの要求をはねつければ、やがてそこに行き着くんじゃないかと僕は思っています。
奥さんの気持ちはわりとシンプルでしょう。
結婚する時は、夫婦生活と子育てに生きがいを見いだせると思っていた。そして、きーやんが働き、子供が小さい時は、「生きがい」としての主婦生活をおくれた。でも、恋愛の熱病がさめ、子供が成長し、「自分が絶対に必要」というスタンスではなくなった。
奥さんが聡明な人なら、子供の成長を自分の生きがいにしてはいけないと考えるでしょう。小学生のうちはまだいいけれど、2年後、中学生になったら適度な距離を取るべきだと考えるはずです。いつまでもベタベタしてくる母親を、中学生にもなるとうっとーしいと男の子は感じますからね。きーやんもそうじゃなかったですか?
で、奥さんは自分の生きがいのために、正社員の道を選ぼうとしているんだと、僕は思います。
「これから子どもの教育にももっとお金がかかるし不安だから」という奥さんの理由は、一番の理由ではないでしょう。それは、二番目の理由で、でも、きーやんを説得するためには、この理由がいいんだと考えたんだと思います。
だって、「自分の生きがいのために働きに出たい」と言ってしまうと「家庭は生きがいじゃないのか!」「子供たちは生きがいじゃないのか!」ときーやんに怒られると考えたのでしょう。
気になるのは、きーやんの同僚の発言です。「一回働かせてみれば、世の中の厳しさがわかるよ」とか「家事をすべてやるっていう条件なら、お金が入るからいいじゃん」というのは、誰も妻側に歩み寄ってはいない言葉です。
きーやんの周りは、みんな「女は黙ってついてこい。家庭にいればいいんだ」という考え方の人達だけなんでしょうか? もしくは、「奥さん、人生の目標が欲しいんじゃないですか?」とアドバイスをする後輩はいたけれど無視したのでしょうか?
どちらにせよ、奥さんの悩みに対して、鈍感すぎるか注意を払わなくていいと思っている男達に囲まれているのだとしたら、僕はとても心配です。やはり、ゆっくりと「熟年離婚」に向かっていると感じるのです。
そして、子供さんには奥さんのことを優しく聞きましたか? まさか、「母さんが外で働くのは嫌だよな」と無意識に強い口調になりませんでしたか? それなら、小学5・6年生の子供達は間違いなく、「お母さんが働くのはやだ」と答えるでしょう。まして息子二人ですからね。これが娘だったら、母親に歩み寄る発言があったかもしれません。
でね、きーやん。生ビールをお代わりしながら聞いてくれる? きーやんは、じつは奥さんが働きたい理由がお金じゃないってことを知ってるんですよね。
だって、「結婚して十数年も経って突然、自分の生きがいのために方向転換を家族に強要するなんて」と、ちゃんとお金じゃなくて、「生きがい」を選ぼうとしてるんだ、と分かってるんですよね。
で、それを「妻のルール違反ではないでしょうか」と言うんですよね。
もちろん、それは「ルール違反」です。でね、きーやん。
問題は、あなたが「ルール違反」を認めるか認めないかなのですよ。人生には「ルール違反」はつきものだと思うか、「ルール違反」は絶対に許さないと思うか、ですね。
でね、きーやん。「ルール違反」から楽しいことが生まれた例はたくさんあるのですよ。
トリック撮影というか特撮の始まりを知っていますか? 映画の初期、フィルムは頻繁に代えないといけない長さしかありませんでした。日本映画の場合、チャンバラの途中で、フィルムを代えるために、みんなストップモーションしながら待っていました。でも、中に、「ルール違反」をしてトイレに行った俳優がいました。
現像してフィルムをつないで上映してみると、いきなり、人がパッと消えたのです。見ていた映画関係者はどよめきました。そして、「これは忍法だ!」とトリック撮影が盛んになったのです。
ラグビーの起こりも、半分俗説ですがそうですね。イギリスの「ラグビー校」のエリス少年は、フットボールの試合中にいきなりボールを抱えて走り出しました。ルール違反ですね。でも、これは面白いと「ラグビー」という競技が生まれたのです。
ひょっとして、奥さんの「ルール違反」から、楽しいことが起こるかもしれません。奥さんが生きがいを感じていきいきして、子供達もそういう母親を見て、喜ぶかもしれません。
きーやん。「そうは言っても、俺は家事なんかする気もないし、する時間もない」と思うでしょう。でも、生きがいのない母親に育てられる子供と、夫を深い部分で恨んでしまった妻とこれから何十年も生活するのは、それ以上に大変になる可能性があります。
昔だったら「女は黙って家庭に入ってろ!」ですみましたが、今は、「夫が簡単な家事なら手伝ってくれている家庭」「妻が生きがいを見つけていきいきと働いている家庭」なんて、ネットでググれば、簡単に見つかります。奥さんに、ずっと我慢を強いるのは不可能なのです。
僕の両親は小学校の教師でした。父も母も、あの当時はブラックという意識がないまま、ずっと働いていました。
母は料理を作る時間もなかなかなかったので、小学校の時代から、インスタントラーメンは僕の親友でしたし、中学校の時はお弁当ではなくて購買部の焼きそばパンが母親代わりでした。でも、僕は母親を一度も恨んだことはありませんでした。母親が毎日、学級通信を発行し、子供達を親身に世話しているのを知っていたからです。
その充実した横顔は、子供にとって自慢であっても淋しさとか愚痴の対象ではありませんでした。
さて、きーやん。僕が言えるのはここまでです。奥さんは聡明な人だと思います。2年後と時間を示し、それまでの準備の期間をちゃんときーやんに伝えているのですから。
怒らないで、いろいろと奥さんと話し合って下さい。きーやんの気持ちを全部伝え、奥さんの気持ちも全部聞きましょう。それができている夫婦は少ないと思いますが、きーやんが離婚を考えてないなら、そうした方がいいと思います
Posted by るいまま at 11:39│Comments(0)
│■るいまま
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