2024年11月18日
滴翠美術館60 【時空】
【時空】
芦屋 #滴翠美術館 は今年会館60周年を迎えた。銀行家として阪神の経済界で活躍した山口吉郎兵衛の邸宅を美術館として開放している建物は、
昭和のモダニズム建築家の #安井武雄 の設計で、がっしりした鉄筋コンクリート造。芦屋のまちを見下ろす高台にあり、テラスからの景色をみると、いつも深呼吸をしてしまう。
この滴翠美術館60周年を記念して、石川県 大樋焼の #当代大樋長左衛門(年雄)さんを迎えての「錦秋の茶会」は、普段はガラスの越しにしか見られないお道具が、わたしたちの手の中にやってきた。
この日、美術館の展示室では「千利休・今も残る茶聖の美学展」が開催中で、その展示物の中にところどころ出張中の作品があり、それが茶室に並べられたのだ。
まず、床には利休が七哲たちに送った消息、つまりお手紙が掛けられている。内容は、利休から弟子たちに伝えるべきこと。
中央に見えるのは、利休手製の竹の花入れ。
3つの茶杓は、左から、細川三斉(忠興)、古田織部、そして、大樋焼のある前田藩ともゆかりの深い高山右近のもの。キリシタン大名であった右近の茶筅筒にはクロスが書かれ透き漆が掛けられている。
なんとも言えぬやわらかな質感の茶碗は、楽焼 初代長次郎の「勾当」。これについては、別でまた書くのだけれど、展示室にはこの「勾当」の写しも展示されており、それが本物と見がもうほど。陶芸窯を持つ滴翠美術館に陶芸家がきて本物を見ながら制作したとのことで、なんとも贅沢なこと。
そして、11代大樋長左衛門(年雄)さんが手にしているのが、大樋焼茶碗「時空」
今年元旦、大樋焼きが窯を置く石川県は大きな地震に見舞われた。大樋焼の工房でも、その被害は免れず100展以上の茶碗が壊れ、そのなかには、先年亡くなられた父上の作品、先々代の作品も多く含まれる。
多くの思いが重なり、そのかけらを捨てることができなかった年雄さんは、破片やかけらを集め分別し置く。
三代の茶碗のかけらを合わせてひとつにする発想はあれど、地震で100年続いた窯も破損し焼くこともできない。窯を再生し、試行錯誤を重ね、単につなぐのではなく、焼成の技法で再び焼き新しい命を吹き込んだ。
窯は未だに元のようには焼けないのだという。何代にもわたり積み重ねた窯の歴史を、再び重ねていくことから始まる。
年雄さんの講演の中で、日本の文化を語るとき、日本から世界をみるのではなく、視点を世界から日本に変えてみましょうというお話があり、あぁっと思った。
そして、ただ楽しいだけでは制作はできないのだ。そこには「悲しみ」もなくてはならないという言葉にも胸を打たれた。
芸術家たちは、みんな人並外れた感受性をもつ。それをそのままにしていると自分自身を見失う。ものごとを客観的にみること、冷静なる自分、公平なる目を忘れてはいけない。
…………
大樋焼11代 大樋長左衛門(敏雄)さんから
素晴らしいコメントをありがとうございます。今も私には悩むことが多々ありますが、心を強くされました。心から感謝申し上げます。
Thank you for your wonderful comments. It has strengthened my heart, although I still have many things that trouble me. Thank you from the bottom of my heart.
芦屋 #滴翠美術館 は今年会館60周年を迎えた。銀行家として阪神の経済界で活躍した山口吉郎兵衛の邸宅を美術館として開放している建物は、
昭和のモダニズム建築家の #安井武雄 の設計で、がっしりした鉄筋コンクリート造。芦屋のまちを見下ろす高台にあり、テラスからの景色をみると、いつも深呼吸をしてしまう。
この滴翠美術館60周年を記念して、石川県 大樋焼の #当代大樋長左衛門(年雄)さんを迎えての「錦秋の茶会」は、普段はガラスの越しにしか見られないお道具が、わたしたちの手の中にやってきた。
この日、美術館の展示室では「千利休・今も残る茶聖の美学展」が開催中で、その展示物の中にところどころ出張中の作品があり、それが茶室に並べられたのだ。
まず、床には利休が七哲たちに送った消息、つまりお手紙が掛けられている。内容は、利休から弟子たちに伝えるべきこと。
中央に見えるのは、利休手製の竹の花入れ。
3つの茶杓は、左から、細川三斉(忠興)、古田織部、そして、大樋焼のある前田藩ともゆかりの深い高山右近のもの。キリシタン大名であった右近の茶筅筒にはクロスが書かれ透き漆が掛けられている。
なんとも言えぬやわらかな質感の茶碗は、楽焼 初代長次郎の「勾当」。これについては、別でまた書くのだけれど、展示室にはこの「勾当」の写しも展示されており、それが本物と見がもうほど。陶芸窯を持つ滴翠美術館に陶芸家がきて本物を見ながら制作したとのことで、なんとも贅沢なこと。
そして、11代大樋長左衛門(年雄)さんが手にしているのが、大樋焼茶碗「時空」
今年元旦、大樋焼きが窯を置く石川県は大きな地震に見舞われた。大樋焼の工房でも、その被害は免れず100展以上の茶碗が壊れ、そのなかには、先年亡くなられた父上の作品、先々代の作品も多く含まれる。
多くの思いが重なり、そのかけらを捨てることができなかった年雄さんは、破片やかけらを集め分別し置く。
三代の茶碗のかけらを合わせてひとつにする発想はあれど、地震で100年続いた窯も破損し焼くこともできない。窯を再生し、試行錯誤を重ね、単につなぐのではなく、焼成の技法で再び焼き新しい命を吹き込んだ。
窯は未だに元のようには焼けないのだという。何代にもわたり積み重ねた窯の歴史を、再び重ねていくことから始まる。
年雄さんの講演の中で、日本の文化を語るとき、日本から世界をみるのではなく、視点を世界から日本に変えてみましょうというお話があり、あぁっと思った。
そして、ただ楽しいだけでは制作はできないのだ。そこには「悲しみ」もなくてはならないという言葉にも胸を打たれた。
芸術家たちは、みんな人並外れた感受性をもつ。それをそのままにしていると自分自身を見失う。ものごとを客観的にみること、冷静なる自分、公平なる目を忘れてはいけない。
…………
大樋焼11代 大樋長左衛門(敏雄)さんから
素晴らしいコメントをありがとうございます。今も私には悩むことが多々ありますが、心を強くされました。心から感謝申し上げます。
Thank you for your wonderful comments. It has strengthened my heart, although I still have many things that trouble me. Thank you from the bottom of my heart.
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