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2008年09月27日

近松と西鶴

さて、昨夜の読書は7時からはじめて、気がつけば10時。

スターバックスって、9時40分ごろには、まもなく閉店でございますと肩たたきがあったんだけどクローズの時間が遅くなったんかな。


■読んでいたのは、浄瑠璃本。近松門左衛門「冥途の飛脚」。 

近松と西鶴

「飛脚屋亀屋の養子・忠兵衛」と「傾城・梅川」の お話でございます。

あらすじを、ごくごく簡単にいうと、

女郎梅川に惚れた飛脚屋の養子忠兵衛が、手を付けてはいけない為替に手をつけてしまい、これまたいけないことに、その金で梅川を見受けして、生まれ故郷の新口村に逃げ戻るも、すでに村には知らせがいっており、実の父にもあえぬまま捕らえられるというお話。




当時としては、かなりスキャンダラスな実話を近松が物語にしたものと言われております。

歌舞伎では「恋飛脚大和往来」という改作で上演されており、文楽では忠兵衛と梅川が逃げ帰った下巻の「新口村の段」が上演されるとのこと。



■しかし、浄瑠璃本というのは、ほんとに小気味の良い言葉のリズムがありまして、スタバのいつもの席で、ぶつぶつ小声で音読しながらコーヒー飲むというのは、新しい楽しみですわ。


たとえば、冒頭の数行、

身をつくし/難波に咲くやこの花の/里は三筋にまちの名も/佐渡と越後のあいのてを/通う千鳥の淡路町

亀屋の世継ぎ忠兵衛/今年二十の上はまだ/4年以前に大和より/敷金もって養子分/後家妙関の介抱故

商い巧者駄荷づもり/江戸へも上下三度笠/茶の湯・俳諧・碁・双六/延べに書く手の角取れて


このリズムで読んでいくと、すらすらと進めます。


調べていっているうちに、出てきた説ですが、近松が鯖江の生まれではなく長州生まれであるという説もあり、長州の「金子みすず」が、この近松リズムにちかい形で詩を残しているのは、少なからずも近松の影響を受けているという説。

確かに金子みすずの詩は、小気味よいリズムがありますよねぇ。


ただ、金子みすずの題材は自然が多く、近松の題材は「人」であり「社会」なので、題材選びの点では少し違うような気がしております。(w




近松門左衛門の家系をたとれば、もともとは公家に仕える身だったようですが、その後武家となり、門左衛門の父が浪人となったため、門左衛門は京都で少年期をすごし、そこで浄瑠璃作家となったとか

なぜ父さまが浪人になったかのところを、探っていっていると、

門左衛門の父さまが、ずいぶんと身分の高いおうちから母さまをめとり、いわば身分違いの結婚で(定かではありませぬ)、そのまちにはいられなくなったのかもしれないようです(かもです)。

門左衛門は、単に平々凡々とした家系に生きていないがゆえに、こうしたものを書き残せたのかもと、勝手に理解。(勝手にねw)


当時、役者でも世間からは下に見られていたので、作家はもっとさげすまれておりました。

いかに浪人といえども武家である近松が、劇作家になるには葛藤があったのかも。近松を名乗る前には、とりあえずのペンネームも使っております。

しかし、坂田籐十郎との出逢いなどから、近松時代を作り上げていくわけです。


近松と、常に比較される「井原西鶴」。

西鶴のほうは、裕福な町人の出と言われており、彼の浮き世草子に出てくる好色ものの男女とも、その道に、なかなか長けておりまして、自由おおらかな元禄町人文化を書き記した大作家でもありますが

  劇作家 近松門左衛門

  浮き世草子(小説家) 井原西鶴

この二人が、元禄のころからずっと日本文学の中で重鎮として人気ランキングされていたかというと、どうもそうではなさそうで

西鶴については、明治の知識層による「井原西鶴って素敵やで、「すごいで」という言葉により再び脚光をあび、近松に関しては昭和になってから、その世界観を映画や文学のなかで取り上げられるようになってからのようです。


夕べ、スタバでの読書のあと、いつものように屋根裏によってマスターと話していましたが、マスターも近松・西鶴は、まず映画で知ったとか。


マスターへ
 夕べ話していた「好色一代女」の主演女優は、田中絹代でした。(笑)





二人の時代は少しずれていて、井原西鶴のころの元禄文化は自由おおらかであったのに、近松のころになるとかなりの締め付けがあり、男女の恋愛についても、思う通りにならねば「もはや、心中しかない」という状況になりつつあったように見うけられます。


近松「冥途の飛脚」の「梅川」と西鶴「好色一代女」の「お春」は、ともに遊女ではありますが、二人の動きはかなり違い(お話が違うのであたりまえではありますが)

「お春」は、その美貌故に流転の人生を歩み島原の遊郭に流れるものの、幼いときから身についた男性を扱う手練手管により太夫に上り詰め、でも、美人を鼻にかけた性格が災いしてどんどん転落の道へ。
65になっても、40にしか見えぬと言われた美貌をもって夜鷹稼業にでるけれど、最早客がつくはずもなく、そこでようやく自分の身に気付くという、結構、痛いところをつかれるお話(笑)


方や「梅川」は、遊女ながら一筋の恋愛を好み、金持ちに身請けされることを嘆いていたところに、忠兵衛が仕事の金を横領してもってきた金で見うけされ、忠兵衛の故郷新口村に二人で逃避行したときも、忠兵衛の父を助けるよき女、よき嫁として描かれておりまして、


一口に元禄といえども、この二人の流行作家が過ごした時代が微妙にずれ、世の中が好んだもので時代を感じ取ることができそうです。


■で、なんで 今、またこんなことをしているかといえば

春から読み続けておりました「女神」については、8月30日の「月の女神が舞い降りた宵」にて、とりあえず、ひとつのプログラムを構築したので
(ほんとは、もうちょっと劇的になるまで、練り込みたいのですが。メンバーがつき合ってくれるかどうか 笑)

次なる妄想は、「近松」でございます。



ほちぼちと あれこれ読んでまいりますので、今日書いたことも、どんどん変化するやも。(笑)







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この記事へのコメント
お二方とも名前は存じ上げておりますが、その話の内容までは知らず。
ままさんの読んで、私はきっと「近松」好き鴨。
わくわく。
Posted by ぴよ at 2008年09月27日 15:33
■ぴよ

近松すきかもかも(笑)
Posted by るいままるいまま at 2008年09月27日 15:58
好き鴨^^
Posted by mino at 2008年09月27日 23:49
近松はやるより見るほうが好きかも・・・。

難易度が高い・・・から(笑)。

浄瑠璃大好き!
(旦那が???)

節回しもやけどリズム感ある言葉の遊びみたいで。

特に、仏生山でする『矢口』は平賀源内の言葉遊びが入っているので楽しいです。
Posted by 椿会★会計 秀一郎 at 2008年09月28日 11:29
■椿会★会計 秀一郎

ふふ

ワタクシ、プロデューサーとして冥途の飛脚を語る子を探しております。

飛んで火にいる…(笑)
Posted by るいまま at 2008年09月28日 18:53
ひぃぃぃ!!
Posted by 秀一郎秀一郎 at 2008年09月29日 12:20
■秀

ほ~ほほほほほほ
Posted by るいままるいまま at 2008年09月29日 20:47
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