るいままとしての３６５日

【残月亭普段着の茶会「旧暦上巳の節句を祝います」　4/13記録 まとめ】






残月亭の藤の花がこの春一番の見頃のときに「上巳の節句」をお祝いできました。




まちかど漫遊帖・＃残月亭数寄者茶会 は、茶の経験など必要なく「だれでも来やすい茶会にいたしましょう」と茶人とは常々話しておりまして、半年ごとに「なににする？」と案を練り、

テーマが決まるとパティスリースミダの住田さんに伝え、住田さんは、茶会当日その場で菓子を仕上げ、蘊蓄もかたっていただくという形でつづけております。

この春は、準備をしているとき、茶人から「＃普段着できていただけるような茶会にしたい。自分の写真も着物じゃないものにしたい」と申し出があり、

茶会の朝、茶人からるいまま組dokumoTシャツ着るよと連絡がありましたので、上巳の節句に合わせ、茶人も私も半東の洋子ちゃんも奈美ちゃんも ＃ピンク でお迎えいたしましたが、



あとで写真をみましたら、私はやや漫才師よりでしたわ（笑）

お客様のドレスコードは普段着。みなさま、おしゃれな普段着できてくださいました。






■普段着の茶会といえども、茶室の設えは、茶人 #中條晴之 のセンスが隅々まで感じられるもの。お客様も「お！」とお喜びいただける形になりました。

茶人の話を聞いておりますと、だいたいの構想はできて道具組をはじめるのだけれど、

置いたり掛けたりしていると、今まで姿を消していた子がひょっこり「私を使って」とでてきて、そうなると彼女（道具）を主役にまた脇役を組み直し、そうこうしていると優秀な脇役もでてきたり、往年の主役が「私も出て差し上げるわ」とでてきたりだそうで、

なかなか楽しい配役ぎめのようです。

今回も「信太」＃福井誠山 と描かれた箱をあけると、それはそれは可愛く美しい腰の張った、まさに上巳の節句にふさわしい茶入が現れ、その子に合わせて主茶碗も打ち出の小槌の模様が描かれた小ぶりの黒瀬戸に。







水指は真塗りの桶にしようと思っていたけれど、このふたつの向こうに見えるのは真塗りではないなと思っていたら、桜の花筏の桶がでてきて「こんな子がいたのか！」と驚きながら、上巳のお祝いにぴったりの可愛く華やかな道具が組み上がりました。


■＃4月は釣り釜。五徳を外して鎖で小ぶりの釜を釣るし、ゆらゆらとゆれる釜や炭の様子を楽しむ季節ですが、

今回の釜は、よくみる筒型の雲龍釜ではなく、屋根がついておりまして、上からみると大きく、でも釜は筒状で、どんぐりのような形をしております。でもどんぐり釜じゃないよ、＃屋根釜（笑）


■本床に掛けられたのは「春風笑」有馬頼底の筆。




■脇には「いろは歌」書家・#奥田美穂 さんの作。



いろは歌にもさまざまな字があてられますが、これは本阿弥光悦の選とのこと。
伊路半耳保遍登　遅里怒留越　
和賀夜堂禮楚　川弥奈良無　
有井乃於久屋万　気布己江傳　
安左畿遊免見新　衛飛毛勢須　
いろはにほへと　ちりぬるを
わかよたれそ　　つねならむ
うゐのおくやま　けふこえて
あさきゆめみし　ゑひもせす

いろは歌には特別な意味はないと言う人もいますが、「匂いたつような色の花も散ってしまう。この世で誰が不変でいられよう。いま現世を超越し、儚い夢をみたり、酔いに耽ったりすまい」という無常を書いたものとも。


■香合は、茶人の茶の弟子でもある漆芸家・＃後藤健吉 さんの琵琶　2面（琵琶は面と数えます）。どちらも、みなさまにみていただきたいと、ふたつともお貸しいただきました。細かな弦の再現性にお客様も「ほう！」と声を上げる細密さ。




■お茶碗には、久々に ＃水元かよこ の茶碗がでてきました。



水元かよこは1971年生。加賀友禅工房で彩色、九谷焼の窯元で絵付けを学んだ陶芸家。

桃色の可愛い茶碗かと思いきや、なかなかの個性、光る目や鱗や紅白の帯。楳図かずおじゃない？

水元さんの言葉をシェア。

「私にとっての美しさとは、生々しい叫びや不器用な衝動、グロテスクなものの奥に光り輝く小さな純粋性。そうした過剰な装飾や表現は、時としてバランスを保つための癒やしになるのではないかと思う。
私の陶芸作品は器に見立てた「身体」だ。夜になるとこっそり
動き出し瞬きするような、日常と非日常、夢と現実を行き来するような雰囲気をたたえた作品を作りたい。そして、鑑賞者にはその気配を感じ取って物語を紡いでいただいたり、私の考えの及ばない鑑賞の仕方をして楽しんでいただけたらと願う」

そして、＃加藤亮太郎、＃紀太理平、＃楽長入などなど。茶席のお話のきっかけを生むようなお茶碗が並びます。





■前回までは、お豆腐のはいった茶粥や、オニオングラタンスープなど茶人が粗飯のプランも点て、自らお作りもしておりましたが、

今回の上巳の節句のお料理は、＃料亭公楽 さんに玉子丼をつくっていただくことに。最後の仕上げをする奈美ちゃんにも負担のなきよう形に考案してくれた「だし巻き卵丼」は、宇多津の古代米がつかわれております。奈良漬は公楽女将お手製。








器は、吉野の桜が描かれた煮物椀。。木箱に「瓢亭」の文字。昔のものとはおもえないモダンな器でした。



折敷は ＃磯井如真。この日の茶入「信太」の作家福井誠山は磯井如真の弟子です。


■この日のための ＃パティスリースミダ のグルテンフリーのお菓子は、桜とパッションフルーツ。



この日は、蘊蓄菓子職人・住田俊二が来られないので、みんな大好きパティシエールのなっちゃんが住田さんが作ってくれたお菓子をもってきて、最後の仕上げをしてくれました。なっちゃん、ありがとう！



でも、住田さんの蘊蓄がないと、ちょっと寂しいよね。


……………


残月亭のお片付けが終わり、るいまま組に移動。やっちゃんからの差し入れ「筍ごはん」で打ち上げ〜 ありがとうございます！



お腹も満ちたところで、奈美ちゃんちの末娘 チパ 4ヶ月に会いに行く。猫のようにはいかない元気な子ウサギに翻弄される。





チパはチパで、生まれて初めてみる毒々しい色のワンピースに興味津々(笑)