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2022年11月16日

松井久子著 「最後のひと」間もなく


今年の夏、映画「レオニー」の松井久子監督と子安宣邦先生の76歳と89歳のご結婚のニュースにブラボーと言った。

そこに至るまでのお二人のことが書かれた、松井久子著「最後のひと」がまもなく発刊される。

松井監督がFacebookにアップした言葉をシェアする。

この中にある、

「あなたが表現することをやめてしまったら、もう松井久子ではなくなるよ」という先生の言葉がぐっとくる。

女を庇い理解ありげな言葉を並べる優しすぎる男では、表現者たる女が何を求めているか理解できない。

松井監督が、先生に出会い、先生に恋し、結婚に至るまでの思いが、この一言に支えられたと私は思う。


………………

松井久子著 「最後のひと」間もなく



【事実を足がかりに、真実をさぐりあてる】

二作目の小説『最後のひと』が世の中に出ていく前に、「自分の再婚体験を小説の題材にして売ろうなんて!」「なんて厚かましいの?」という声が聞こえてくるような気がして、今からドキドキしている。

考えてみれば、20年前に映画『折り梅』の脚本を書いたときも、10年前に『レオニー』のシナリオ執筆に苦しんでいたときも、「事実を足がかりに真実をさぐりあてる」のが面白くて、それが私の表現活動の基本だった。その基本姿勢をまっすぐに貫いて、多くの人びとの共感を得たときが、この仕事をしてきてよかった!と思えるときだった。

今回の作品が生まれるきっかけも、自分自身の体験があまりに思いがけないものだったので、また極めて稀有な体験をしていると思えたので、「この事実を書いてみたい」と、まず相手の(のちに夫となる)「先生」に訴えた。
そのときの先生の「いまは高齢者がとても孤独で寂しい時代だ。多くの老人たちが希望を持てるようなものが描けるなら、書いてみるといいよ」との言葉に背中を押されて、パソコンに向かうことができたのだ。
しかし一方で、家族の話を聞けばこれまでの先生は「自分の個人的なことを他人に知られたり、自分から話したりすることを、極度に嫌う人だった」という。
それで書いている途中で、やはり一度は読んでおいてもらったほうがいいと思い、原稿をプリントアウトして、いまの家に持ってきて渡した。

丸一日近い時間をかけて、片時も休まず読み終えたあと、彼はひと言も言葉を発することなく、いつまでも黙ったままだった。
その沈黙で彼が「事実もフィクションも含めて、小説に書かれるということはこういうことだったのか!」と、はじめて残酷な現実を突きつけられたように感じているのだとわかった。
そのことにひどく苦しんでいるようなのに「あの部分はやめてくれ」とか「ここは嫌だ」といった細部についての意見や感想をひと言も口にしない。
やがてそんな彼の姿に耐えきれず「やっぱりやめます。もうじゅうぶん幸せになったのだから、もう小説を書くなんてこと、しなくてもいい」と私は言った。
そのとき彼から返ってきた言葉は、「あなたが表現することをやめてしまったら、もう松井久子ではなくなるよ」というものだった。

そしてその後、再び書き始めた私を、いつも黙って見守ってくれてきたのは、『最後のひと』の哲学を、メッセージを、世に送り出す意味の重要さを、誰よりも深く理解し応援してくれているのは彼なのだとわかって、私はそのことに感謝しながら、なんとか最後まで書き上げることができたのだった。
分野が大きく違うとはいえ、互いにものを書く仕事をしている私たちにとって、大事なのは「事実か否か?」などではない。「真実を表現できているかどうか」だけなのだ。
いよいよその審判を浴びるときが近づいている。

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