るいままとしての３６５日

【一乗谷の岸田さん】

NHKで福井 一乗谷の朝倉家のことを話していて、なつかしいなぁ、岸田さんどうしてるかなと思い出に浸る。

初めて一乗谷にいったのは、2009年7月。

福井市にまちづくりの講演で呼ばれ、喋ったり歌ったりの大忙しの仕事をおえ、福井の視察に連れていっていただき、

その頃、一乗谷復原遺跡の観光ガイドの会長だった岸田さんと知り合った。



岸田さんはほんとに一乗谷を愛していて、岸田さんのガイドを体験すれば、だれだって朝倉家のことを好きになる。

あまりに岸田さんと気があって、翌年、福井に出張仕事にいったとき、ひとりで一乗谷まででかけたのだが、

岸田さんが休みの日で普通のガイドさん(笑)に案内してもらい、駅で電車を待っていると、岸田さんが車で迎えに来てくれて、

せっかく来てくれたのに何ももてなさず帰らせない！と、一泊のばして岸田さんと飲んだ飲んだ。



岸田さんは、泣き言をいうときは福井に来てはだめだ。笑って、バカ言えるときにのみ福井に来いといわれた。

マイナスのことなんか、誰でも言える。言い訳や できない理由をさがしているときは何も動かないという岸田さんの信念は、どの分野にも当てはまる。

まちに暮らして、そこで動けば、めんどくさいことも起こるし、変化を嫌う人もいる、チクショーと歯をギリギリさせることもあるけれど、それを悔やんでグズグズ言うより、笑い飛ばして前を見よ。

そんな岸田さんだから、「会長のいうことなら、のった！」と言う人が集まって一乗谷は盤石の力をもっていた。



あれから10年、その後、私はモーレツに忙しくなって、岸田さんの「京都までくるなら電話しなさい」も果たせないままだ。

でも、一乗谷がテレビや雑誌に取り上げるたび岸田さんを思う。



三国湊と敦賀湊をもち交易にも優れ、水脈は豊かな土地を育み美味しい米をつくり、地形をうまく利用した文化的で美しいまちは、戦国の世でなければもっともっと繁栄したにちがいない。



10年前のるいまま と 一乗谷の岸田さん